【書評】手紙屋(蛍雪篇)|喜多川泰

Contents

書籍の概要

和花は、部活や友だちとの付き合いに忙しい高校2年生。

そんな彼女が夏休みを前に進路のことで父親と衝突してしまう。大学には行きたいけれど、成績が上がらない。勉強しなければと思うのに、どうしてもやる気が出ない……。

悩みを抱える和花に、兄の喜太朗が紹介したのは「手紙屋」という謎の人物だった。「十通の手紙をやりとりすれば、夢を実現できる」その言葉に惹かれ、モヤモヤした今の気持ちを吹き飛ばしたい一心で和花は手紙を書き始めます。

「手紙屋」との交流を通じて、和花の心はどう変わっていくのか?

勉強の本当の意味やその面白さとは?そして、夢を実現するために本当に必要なこととは?

和花が自分自身と向き合い、新しい一歩を踏み出す姿が描かれる感動の物語。

なぜこの本を選んだのか?

資格勉強のモチベーションが落ちていた時期に、「今すぐ勉強したくなる」という帯の言葉に惹かれ、勉強に対する考え方を見直し、自分自身のやる気を取り戻せるようなヒントが得られるのではないかと期待を込めて手に取った。

印象に残ったポイント3選

要点
「勉強」は道具である

本書の中心にあるメッセージは、「勉強は道具である」という考え方。手紙屋は、勉強をナイフに例え、使い方次第で生活を豊かにする道具にも、人を傷つける凶器にもなり得ると説いた。

「勉強は良いことだから、やるべきもの」という固定観念を覆されると思う。

要点
苦手科目へのユニークな向き合い方

本書で興味深いのは、苦手科目へのアプローチの提案。

手紙屋は、科目そのものではなく、その科目に関わる「人」に興味を持つことを勧める。

要点
受験期の不安を乗り越える姿

受験期は、多くの学生にとって人生で最も不安を感じる時期の一つだ。

和花も、成績が上がらない焦りや将来への不安に悩んでいた。しかし、手紙屋との手紙のやり取りを通じて、その不安が徐々に前向きな変化を遂げていく。

特に、勉強の成果と人生の幸福度は必ずしも比例しないという指摘は、多くの読者に深く響くだろう。

読んでみた感想

子どもに「どうして勉強しないといけないの?」と聞かれたとき、何と答えるだろうか。おそらく、多くの方が「将来のため」「良い大学に行くため」と答えると思う。

本書は、そんな答えでは満足できない人にこそ手に取ってほしい一冊。

勉強の本当の意味、そしてそれが人生の道標になり得ることを、年齢に関係なく腑に落ちる。「勉強って何のためにするのだろう?」という疑問に対し、手紙という温かくも深い方法で答えを導いていく本書。

読み進める中で、自分の考えがいかに浅く、視野が狭かったかを思い知らされた。人生の大切なヒントが見つかると思う。

ぜひ、多くの方に読んでいただきたい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
Contents